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大阪医療センター 救急車運行で偽装請負 労働局、近く是正勧告

2012/10/21

 ■昨年には派遣期間切れで指導
 国立病院機構大阪医療センター(大阪市中央区)が、救急車の運転業務をめぐり、委託先社員の運転手に直接業務を指示していたのは労働者派遣法に違反するとして、大阪労働局が同センターを立ち入り調査していたことが20日、関係者への取材で分かった。同センターは昨年3月にも、同法が定める派遣期間を超えて派遣労働者を受け入れたとして行政指導を受けており、指導後は請負契約に切り替えたが、実態は派遣労働だった。
 大阪労働局は、同センターが指導後も実質的に直接雇用の社員と同様に扱う「偽装請負」の状態で運転手を働かせていたのは悪質と判断、近く是正勧告する。
 厚生労働省も、全国144の病院を運営する独立行政法人国立病院機構本部(東京)に対し、派遣職員の就労状況について報告を求める方針で、違法な労働形態がなかったか調査に乗り出す。
 関係者によると、同センターは今年1月まで「日本道路興運」(東京都新宿区)と請負契約を結びながら、実際は病院職員が直接同社社員の運転手に救急車などの運行業務や勤務時間を指示するなど、労働者派遣事業に該当する行為があったとされる。
 同法の規定では、運転手に運行業務を指示する際、運転手の管理責任を明確にするため、委託会社の車両管理責任者を通じて指示しなければならないが、職員は緊急時以外でも携帯電話で直接、運転手に指示していたという。
 同センターは昨年3月、専門職種として受け入れた派遣職員31人のうち、運転手を含めた24人について、専門業務には当たらず同法で認められた最長3年の派遣期間を超えているとして、大阪労働局の是正指導を受けた。
 運転業務は指導後、派遣から請負契約に切り替えたが、運転手はその後も職員から業務を直接指示されるなど、偽装請負の状態が続いており、同労働局は昨年11月、同センターを再び立ち入り調査し、改善を求めた。
 同センターは今年1月末で同社との請負契約を解消し、現在は一部の非常勤職員が運転業務を担当している。
 同センターの大前道和事務部長は「労働局の改善指導を2度も受けたことは重く受け止めている。指摘された内容については改善を図っているが、引き続き適正な病院運営に努めたい」としている。
 大阪労働局は「個別事案については答えられない」としている。
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【用語解説】偽装請負
 実態は派遣先企業の指示で働く派遣労働者なのに請負契約を装って、労働者の使用に伴うさまざまな責任を逃れようとする違法な労働形態。本来の請負は、発注側が仕事をすべて請負会社に任せるが、偽装請負では請負会社が発注側に労働者を送り込むだけで、仕事の管理は発注側に任せている。ただ、派遣先企業の指示で働くことは認められておらず、職業安定法や労働者派遣法に違反する。使用者責任が不明確になり、労災防止など安全管理の責任の所在があいまいになる弊害も指摘されている。
[産業経済新聞社 2012年3月21日(水)]